医学専門 校閲者・翻訳者/医療啓蒙

業務日誌

ブログを設置しました。

 ホームページ内で日々感じたことを書き込んでいくと縦方向にページが長くなってしまうので、別箇ブログを設置しました。


○外国の会社が日本国内の求人サイトに英語で翻訳者募集を行い、仏和や独和の出来る人を募集していた。分野が書かれていないのでそれについて問い合わせメールを出した。返信があったが、私の質問に対する回答はなかった。一方、履歴書の送付を頼んできたり、翻訳料金はいくらなのかを聞いてくるといった内容だった。簡単な質問にも答えない姿勢に不安感を覚えたので、今回はこの会社とそれ以上の連絡は取らないことにした。尤も返信時に単に質問に対する回答を書き忘れただけという可能性はあるが。


○一般向け医学関連図書の校閲依頼が入った。「監修者、校正者はいるが、別箇に医学的内容について文章を確認してほしい」という依頼であった。有り難いことに十分な報酬額も提示してくれた。実際に報酬が振り込まれるのは少し先になるが、報酬のほんの一部とはいえ社会に還元しようと思い、慈善団体に3000円ほど寄付をした。



○顧客と翻訳者の両者から見捨てられた翻訳会社
 翻訳会社が注文を受けてから求人サイトに翻訳者募集の広告を出すという例はよくある。先日もそういう例を見た。求人サイトの募集広告の文言も、その会社のホームページ上の募集広告の文言も、上から目線という印象を受けた。これでは登録翻訳者がいても、仕事の依頼を断ってしまうだろう。翻訳案件発生時に慌てて求人サイトを利用することになってもやむを得ないと感じた。
 また私が求人応募者に対するトライアル審査(課題文翻訳の審査)をしている数社でも、もう応募してくる人はいなくなった。わざわざ翻訳テストの訳文を書いて登録されても仕事はないこと、高価な翻訳支援ソフトを自腹で購入、安すぎる報酬などの翻訳業界の実情は、ネットで調べればすぐに分かる時代である。これでは翻訳会社と取引しようとする翻訳者はいなくなって当然である。
 翻訳を頼む方も、高額、低品質の翻訳会社は避けたい。今は個人との仲介サイトも多く、専門的な内容でない翻訳は特にそういうサービスを利用する例は多い。更に医療、医薬業界でも卒前教育で英語教育に力を入れる傾向にある。高額の費用を翻訳会社に払って質の低い訳文を入手する必要がないとも考えられる。
 翻訳者からも、そして顧客からも翻訳会社は取引対象にならない事態となっているのかもしれない。


○疑問を覚える「翻訳者急募」
 翻訳者が求人に応募してこないからと、翻訳会社ホームページ上で「急募」する例は今までもみかけた。今回は求人サイトでその手法を使う例をみた。「急募」とはなっていたが、「経済、政治、医薬、環境、工業…」という感じで多数の分野が羅列されていた。一度に多数の分野で急募が必要になるとは思えない。とりあえず翻訳者の確保だけしようという印象を受けた。
 また急募でもいわゆるトライアル(翻訳能力テスト)を実施というのが通例だが、本当に急を要するなら、そんな暇はないだろうと思ってしまう。しかもトライアル審査に何週もかかるとしたら、急募ではなく「常時募集」というのが本当のところだろう。


○仏文英訳は和文英訳よりやさしい?
 フランス語の医療記事を読みながら、ふと「この文をを英訳するとしたらどうなるか」と思った。そして、曖昧な日本語を英語に変換するより、楽かもしれないと思った。医療用語は多少のスペルの違いはあっても似ているので、専門用語の訳語は分かりやすい。専門用語以外の一般表現でも似ている単語は多い。独文英訳や和文英訳よりは容易かもしれないと考えてしまった。
勿論、そんなに簡単ではないだろうが。


○翻訳会社の求人の応募条件
 よくTOEIC 850点以上、900点以上などの条件が翻訳者応募の必要条件になっている。しかし、翻訳会社の実際の訳文は質が低い傾向にある。上記のような条件を出している翻訳会社でも、ホームページ掲載の訳文見本を見ると、不自然な訳文がみられる。翻訳会社としては、能力の低い人がむやみやたらと応募してきては対応しきれないという事情はあるのだろう。しかし翻訳会社の訳文を見る限り、TOEIC点数は篩(ふるい)としての効果はあまりなさそうである。
 また、応募者を絞るために、いわゆるトライアルを有料とし、いわば検定試験としている会社もある。この方法にも問題があり、学習段階の人は力試しとして応募/受験をしてくれるだろう。その一方、翻訳会社が望むプロレベルの翻訳者は、求人を装った金儲けを疑い、応募はしてこないだろう。

○再度、驚きの低報酬求人広告
 在宅で訳文の校正を行う、いわゆるチェッカーの募集をみかけた。示されていた報酬は時給1000円相当とのことであった。学生や主婦の単純労働ならばともかく、医薬その他の専門的な内容で、英文を正確に読めて的確な日本語にできる人、逆に英文での著述ができる人を時給1000円で探すのは無理だろう。必要経費を含めたら、実際には時給800円、700円にさえなってしまう。これでは地方在住で仕事自体がない、介護などで家を空けられないなど特別な事情がある人以外は翻訳関係の仕事を避けるだろう。


○和文英訳--和文1枚(400文字)を英訳して1500円の報酬とは…。
 これは先日、ある翻訳者用求人サイトに出ていた某翻訳会社の翻訳者報酬である。医薬分野、しかも英訳でこの報酬額とは驚きである。英訳を何度か経験した人なら分かると思うが、日本語原文の理解はとても難しい。日本語表現が曖昧であったり、直訳すると不自然な英語になってしまうがどこまで意訳するかなどかなり悩む。訳文に注釈を入れてお客様の参考になるようにもすると、作業時間もさらに長くなる。丁寧に仕事をすればするほど、労働賃金(時給)は低くなっていく。これでは翻訳会社と取引などできない。
 実際に翻訳会社求人への翻訳者応募も減っているようである。私は2つの翻訳会社で応募者のトライアル審査をしているが、近年応募してくる人は激減し、今年はほとんど応募者がいない。お客様は翻訳会社の訳文を下訳としてしかみず、外注翻訳者からも翻訳会社は見捨てられ、翻訳会社の未来は暗いかもしれない。


○注文を受けてから翻訳者の求人をする翻訳会社
 以前からこのような会社を、翻訳者求人サイトではたまにみかけていたが、今回は短い間隔で続いた。どちらも注文者の望む締切に間に合わせるため、慌てて求人をしているとの印象を私は受けた。「自社では現在対応できない」とお客様に話す勇気を翻訳会社はもてないのだろうか。以前に翻訳会社からあった電話の内容が思い出される-「もう注文を受けてしまった。貴方の専門ではないことは分かっているが、どうにか訳してほしい」という依頼だった。下手に訳すより、無理なときはきちんと断った方が、信頼関係を作れるのではと、個人的には思っている。


○翻訳会社の生き残り対策
 求人広告を見ていて感じたことがある。翻訳会社には翻訳スクールを開講、通信教育を行っているところが以前からあった。そして以前には開講していなかった翻訳会社も翻訳スクール業務を行う例が出ている。翻訳スクール開講以外にも翻訳以外の業務を新たに行う翻訳会社もある。翻訳会社であっても、もう翻訳だけでは会社を維持するのが難しいのかもしれない。翻訳会社の経営方針の傾向を考えると、当然の結果に思える。


○国内外の多数の求人サイト、SOHOとの仲介サイトなどに翻訳者募集の求人広告を出し続けている会社がある。その会社は一時、同じサイトに少し内容を変えていくつも同時に募集広告を出していることもあった。細かな条件や募集方法を考えると、良い人材は来ないだろうと思いつつ、その会社の求人をみて気の毒に思っている。
 私がいわゆる求人応募者のトライアル(翻訳テスト)の審査をしている会社にも翻訳者募集に応じる人は激減している。今の翻訳会社は、仕事を請け負う個人翻訳者には不利または無理なな条件ばかりを要求する。よい人材がたくさん応募してくるとは思えない。実際、翻訳会社の訳文は誤訳や不自然な日本語訳が多い。私は翻訳会社の利用者から修正作業を定期的に依頼されているが、日本語が悪すぎてどの語句を修正すればよいか分からないまま校正ができず、数行単位で日本語訳を新規に書き直すことも多い。
 翻訳会社が翻訳者との共存、共栄するにはどうすべきか考えないと、翻訳会社の未来は暗いだろうと思われる。

○歯科の復習
 先日久しぶりに歯科医院を受診した。それをきっかけに歯科の知識を復習することにした。医科医療者向けの歯科医療の参考書、歯科衛生士課程学生向けに歯科臨床の概要を説明した教科書、歯科助手用参考書等を読んでみた。歯科衛生士用の各科目教科書も目次や見本ページをネット検索もしてみた。その印象を述べると、(1)歯科特有の専門用語は、難しそうな表現が多い。医科出身の人間からみると、医科ならもう少し学術的かつ平易な表現にしそうと思えるものがある。--ただし医科でも皮膚科用語のように難しそうな用語はたくさんある。(2)医科系の人が歯科の概要を知るには、歯科助手用、歯科衛生士向けの教科書はけっこう参考になる。ただし歯科衛生士の教科書、参考書は、課目によっては医科と重なる内容が多い。


○継続的、定期的に受注している"翻訳会社が作った英文和訳の修正"だが、先日の訳文は特にひどかった。完全白紙の状態から新規に訳しなおした方が楽なくらいだった。もはや日本語としておかしくて意味が通じない箇所が多かった。翻訳者にしてみればお金は欲しいし、引き受けた以上は作業を断りにくいかもしれない。その心情は理解できるが、著しく自分の能力を超える仕事は、いったん引き受けた後でも元請けの翻訳会社に連絡して適任者に仕事を任せてもらいたい。翻訳会社の方も、ある程度の訳文の品質確認はしてもらいたい。そして「翻訳会社の訳文は信頼性が低い」という前提で翻訳会社常連客は利用していることを自覚してほしい。

○ドイツ語の学習にDeutsche Welleという放送局のサイトでニュース記事をほぼ毎日読み始めて1年なる。元来はNHKの語学講座応用編を使って勉強していたが、毎日いろいろな話題のドイツ語に接する方が学習効果が高いと思った。最初は何度も辞書で単語の意味を調べていた。全く知らない単語もあれば、念のために意味を調べた単語もあった。それでも毎日一定時間は読んでいれば1年経つとだいぶ読みやすくなる。フランス語についてはNHK国際放送のサイトでニュース記事を読んでいたが、話題が狭い領域になってしまうので、フランスのニュースサイトを現在は利用している。記事によってはテレビのニュース番組の断片と思われる動画もついている。それを毎日利用して勉強していると、少しずつだが聞き取れる場所が増える。英語以外の言語については国内の学習用教材は限られるので、現地のニュースサイトはよい学習素材だ。
 振り返ると医学英語を覚えるためにNew England Journal of Medicineを読み始めた時も1年経過すると、辞書なしでも、分からない単語があっても意味を推定しながら読めるようになった。私と同じく1年でこの雑誌をどうにか読めるようになったという体験談を読んだこともある。
 初級レベルを終えた後の外国語学習は、1年間毎日のように苦労して時間を作って勉強を続けると一定の学習効果を実感できるのかもしれない。しかしまず1年続けるのは動機づけがしっかりできいないと、途中で挫折しそう。私も何度も、辞書で意味を調べるドイツ語の単語の数が減らない、フランス語が全然聞き取れないと思った。それでも前述の米国医学雑誌を読めるようになった時の経験が私にはあったのでドイツ語、フランス語の勉強では停滞期も乗り越えられた。
 


○年末にも僅かながら仕事をした。翻訳会社の作成した訳文を修正する仕事で、納品は年明けでもよかった。しかし仕事が残っているのは落ち着かないので、年内に片づけてしまった。有り難いことに年明け早々にもこの依頼主からは予約が入っている。
 編集代行会社経由での医学書改訂、執筆依頼についても納品後特に加筆や修正の指示が来ないままなので、原案として使用可能な程度になっているようだ。他人が見れば100点満点の文章にはならないだろうが、一定の満足をしてもらえたとしたら、私としても気持ちよくお金をもらえてうれしい。